ハンマーと首吊り線:下ヒゲの長い足
1本のローソク足パターンは、足1本の形で名前を付けます。実体は始値(足が始まったときの価格)と終値(終わったときの価格)の間、値幅は高値から安値まで、ヒゲは実体の上下に伸びた部分です。ハンマーは実体が小さく下ヒゲの長い足で、この記事の測定では、実体が値幅の35%以下、下ヒゲが実体の2倍以上、上ヒゲが値幅の15%以下の足を選びました。足の中で大きく売られたあと値を戻し、値幅の上のほうで引けたという意味です。同じ形が下落のあとに出ればハンマー、上昇のあとに出れば首吊り線と呼び、実体が陽線でも陰線でも同じ名前を使うのが一般的です。
例:架空の価格です。下ヒゲの長い同じ形の足でも、上がったあとに出れば首吊り線、下がったあとに出ればハンマーと呼びます。この図のように、首吊り線のあとにさらに上がることもあります。名前は直前の流れで付けているだけです。
流れ星と逆ハンマー:上ヒゲの長い足
流れ星(シューティングスター)は、ハンマーを上下にひっくり返した形です。実体が値幅の35%以下、上ヒゲが実体の2倍以上、下ヒゲが値幅の15%以下の足です。足の中で大きく上がったあと押し戻され、値幅の下のほうで引けたという意味です。上昇のあとに出れば流れ星、下落のあとに出れば逆ハンマーと呼びます。逆ハンマーと首吊り線はこの講座の測定に含めていないので、以下に書く数字はハンマー・流れ星・同時線にだけ当てはまります。
例:架空の価格です。同時線は流れの途中にもよく出ます。上がったあとに上ヒゲの長い小さな実体が出ると、流れ星と呼びます。その後の値動きは描いていません。
同時線と大陽線・大陰線:実体の長さ
同時線(十字線)は、始値と終値がほぼ同じで、実体が線のように見える足です。この記事では、実体が値幅の10%以下の足を、直前の流れに関係なくすべて同時線として数えました。10銘柄の日足29,946本のうち3,300本余りで、約11%でした。何%までを同時線と見るかに決まった値はなく、このサイトのローソク足パターン検知は12%未満を使っています。大陽線・大陰線は反対に、実体が直近の足よりはっきり長く、ヒゲが短い足で、その足の間に一方向へ大きく動いたという意味です。陽線なら大陽線、陰線なら大陰線と呼びます。どれだけ長ければ大陽線・大陰線とするかも基準がまちまちなので、今回の測定には含めていません。
形より先に位置を見る
最初の図のように、同じ形でも直前の流れによって名前と解釈が変わります。そのため、形だけが合っていて位置が合わない足はパターンと見なさない、と強調する本が多くあります。問題は、「直前の流れ」を決める方法も一つに決まっていないことです。この記事の測定では、パターンの直前の足の終値が、その5本前の終値より低ければ下落のあと、高ければ上昇のあとと見なしました。この期間を10本や20本に変えると、同じチャートでも見つかるパターンの数と結果が変わることがあります。
足の長さによって重みが違う
日足のハンマーは、24時間の取引がそういう形で終わったという意味です。1分足のハンマーは1分間の動きなので、取引の少ない銘柄なら注文数件でもできてしまいます。短い足ほどこうした形は頻繁に出て、1本1本に含まれる取引は少なくなります。このサイトのローソク足パターン検知は、韓国の取引所Bithumbのウォン建て市場にある5銘柄の1分足から、7種類のパターンをリアルタイムで探して表示します。ハンマーは陽線で、かつ直前の1本が陰線のときだけ探すなど、定義もこの記事の測定と少し違います。形を探してくれるだけで、その後の成績を示したり保証したりはしないので、パターンが実際のチャートでどう生じるかを観察する用途と考えるのが妥当です。
10銘柄の日足で測った結果
バイナンス現物のBTC・ETH・BNB・XRP・ADA・DOGE・LTC・LINK・TRX・SOLの日足29,946本(各銘柄の上場日から2026年9月22日まで、BTCは2017年8月から)でパターンを探し、パターンの足の終値と5本後・20本後の終値を比べました。上昇割合は、k本後の終値のほうが高かった割合です。比較の基準は50%ではなく、すべての足で測った値です。この期間にコインは大きく上がり、どの日を選んでも平均の騰落率がプラスだったからです。3つのパターンとも、5本後・20本後の上昇割合に基準と2.2ポイントを超える差はありませんでした。下の本数は5本後を測った標本数です。
- 基準(すべての足):5本後50.5%、20本後50.4%
- 同時線3,320本:5本後50.7%、20本後51.3%
- ハンマー(下落のあと)756本:5本後51.5%、20本後49.2%
- 流れ星(上昇のあと)501本:5本後48.3%、20本後50.4%
BTCだけ、4時間足だけを切り出すと
対象を絞ると、数字はもっと大きく揺れます。BTCの4時間足19,928本(2017年8月〜2026年9月)では、ハンマー532本のあとの上昇割合が6本後(1日)53.6%、30本後(5日)57.9%で、基準(52.0%、52.8%)より高く、流れ星389本のあとは46.0%、47.7%で基準より低くなりました。教科書の言う方向です。ところがBTCの日足では、流れ星47本のあとの5本後の上昇割合が57.4%で、基準の53.1%よりむしろ高く、ハンマー79本のあとの20本後の上昇割合は51.9%で、基準の53.7%より低くなりました。銘柄と足の長さによって方向が食い違い、多くの組み合わせを一度に見れば、そのうちいくつかは偶然だけでも差が大きく見えます。
なぜ差が小さいのか
いくつかの説明が考えられます。足1本は数字4つにすぎないので、同じハンマーでも、大きなニュースのあとの反発なのか、取引の閑散とした時間帯の揺れなのかを区別できません。足の区切りの時刻が約束事にすぎないという点もあります。日足の締めの時刻が違う取引所では、同じ日の足でも形が変わることがあります。また、誰もが知っている形なので、そのあと上がることが本当に多かったのなら、多くの人が先に動いて差が縮まっただろう、という考え方もあります。どの説明が正しいにせよ、10銘柄の日足を合わせたデータでは、形ひとつがその後の方向を大きく分けることはありませんでした。
この記事が言っていないこと
この測定は、ローソク足パターンが役に立たないと証明するものではありません。支持線近くのハンマーや、大きな出来高を伴った大陽線・大陰線のように、ほかの条件を重ねた場合は測っておらず、定義や直前の流れの基準を変えれば数字も変わります。反対に、ある組み合わせで基準より高く出たからといって、これからもそうだという意味でもありません。このデータで言えるのは、10銘柄の日足を合わせて見ると、形ひとつだけではその後の方向が基準とほとんど変わらず、対象を絞ると方向が食い違った、ということです。パターンの名前はチャートを調べる出発点であって、結論ではありません。
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